実質的変更基準(PSR)とは
実質的変更基準(PSR)には以下3つの区分がある。
【1】関税分類変更基準(CTCルール)
関税分類変更基準(CTCルール)とは、輸出する品目とその材料のHSコードを比 較して、番号が異なっていれば一定の加工がされていると捉え原産性を認めるルールです。
以下 3種類がある。
CTSH→CTH→CC順番で加工度が深くなっていく。
加工度が深くなっていくということ、はそれだけ最終生産国で多くの加工が必要ということ。
【2】付加価値基準(VAルール)
付加価値基準(VAルール)とは、製品に付加された価値が条件を満たした場合に「原産品」となる。
計算方法は大きくRVC(域内原産割合)を求めるための①控除式、②積み上げ式、非原産材料の最大割合を求める①MaxNOMがある。
どの方式を採用するかは協定によって異なる。
控除式
各EPAで多く用いられている一番簡単な計算式。EPAでは「原産材料」と証明するには、証明書(サプライヤー証明)が必要。証明がない部品はすべて、「非原産材料」となる。
付加価値基準はEPA加盟国内で加算された「付加価値」に着目す るので、利益・労務費も原産部分として計算される。しかも証明する必要がない。
例えば FOB価格40円、全材料費20円(原産/非原産材料混在)の製品を判定する場合、利益労務哲だけで50%となる。
原産割合碁準が50%以下の協定は、各部品について証明をする必要もなく、適用となる。(日本で一定以上の加工が加わっている場合)
積上式
積上式は日本商工会議所基準、TPP基準がある。
日本商工会議所基準は以下の通り、原産材料価格を特定する。
なお、この場合利益労務費を原産とするには証明資料が必要。
TPP基準では、この原産材料価格には利益労務費は含まれない。
原産材料は全てサプライヤー証明で証明をせねばならず、証明の手間は控除式に比べると多い。
非原産材料最大割合(MaxNOM)
主に日EU協定、日スイス協定などで採用されている。
非原産材料とEXW(工場出し価格)に着目した計算式。
上記RVC(域内原産割合)と違い、協定基準以下が求められるので注意。
(例)協定MaxNOM閾値が50%ならMaxNOM50%未満が適用。
【3】加工工程基準
非原産材料に対し、日本又はEU域内で特定の加工が行われたことをもって原産品として認める基準。化学品や繊維製品などに採用。
化学品に用いられる加工工程基準の例
・生物的加工工程
・粒径の変更
・化学反応
・蒸留
・異性体分離
・混合及び調合
・標準物質の生成
・精製
繊維及び繊維製品の加工工程基準の例
糸や生地、衣類などは主に加工基準が採用されている。基本的な考え方は、①紡ぐ、②編む/織る、③裁断・縫製をそれぞれ一工程と考える。
二工程以上に対して原産性を付与する協定が多い。